昨日の実験(メチル化)と、カモノハシの続き
カモノハシのゲノム解析の論文が掲載されているいる号の表紙(Nature, Volume 453 Number 7192, 2008)
12日にここに書いた解析の続きだけど、やっと、Keratin 14とbeta-globinのメチル化を検出するためのプライマーをデザインした。ついでに、Myogeninのプロモーター領域も調べたところ、都合のいいBisulfite法でメチル化センシティブな制限酵素サイト(ACGT)が見つかった。早速プライマーを注文して実験を始めたいと思う。その前に、NIHのグラントを書き終えないといけないのだが。
12日紹介した(2008-05-12 - Myogenesistの生物学の部屋--進化・発生・幹細胞・再生医療に関するトピック)カモノハシのゲノムプロジェクトのNatureの論文の図を見ていると(最新号のNatureのArticleの論文:Genome analysis of the platypus reveals unique signatures of evolution | Nature、その日本語版のPDF:http://natureasia.com/japan/nature/pdf/nature_v453_n7192.pdf)、カモノハシ(単孔類)まで存在していて、真獣類(有胎盤類:メスが胎盤を持つほとんどの脊椎動物)で失われた遺伝子のリストが載っていてた。卵生にかかわる遺伝子などが含まれている。大野乾の遺伝子重複説だと、基本的には遺伝子が失われることはなく、ある遺伝子が遺伝子重複で複数になった場合、一方に変異が導入されても、正常な遺伝子のほうで何とかやっていけるので、淘汰されず、変異が導入された遺伝子のほうが、新しい機能を獲得したり、機能を失って偽遺伝子化するという理解である。この理論だと、卵生に必要な遺伝子のように、真獣類に進化して失われた遺伝子というのは、現在、変異によって、新しい遺伝子として新しい機能を獲得しているのか、偽遺伝子化していているのであろう。彼が1970年代に提唱した仮説が、21世紀になっていろいろな種のDNA配列の全貌が明らかになり、証明あるいはリバイズされていくのは興奮させるものがある。残念ながら、本人は2000年にすでに他界しているのだが。それにしても、大野乾の書いた進化の本は読んでいて先見性(foresight/prospective)に富んでいるだけではなく、読み物としても面白い。学生のころから最も啓発させられた本のひとつである。
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